『ダブルエベレスティングへの挑戦』【走行編(前半)】
『ダブルエベレスティングへの挑戦』【計画~準備編】はこちらです。
↓↓↓↓
『ダブルエベレスティングへの挑戦』【計画~準備編】 - まさゆめ~広島~ロードバイク日記
●スタート前
6月6日(日)『AM5:40』。
走り出すための準備が完了して、チャレンジスタートができる状態になった。
今回のチャレンジ達成に向けての考え方を簡単に確認してみる。
『春日野ヒル』のセグメントは距離2.4kmで平均勾配6.1%。そして獲得標高が158m。
獲得158mの登りを56本でジャスト『8,848m』。ダブルだと登る本数はその倍の112本。
今回のチャレンジでのペースは以前のチャレンジを参考に、前半戦は『200ワット』を目安に登ることにする。
『登り1本=約9~11分』、『下り1本=約3分前後』がおおよそのタイムである。
頂上や麓での折り返し区間でのロスを考えて、往復1本の目安は『約15分』で計算。
単純計算で『1時間=4本』、休憩なしの同じペースで登り続けて『56本=14時間』となる。
当然休憩を入れることになるし、常に同じペースで登れるわけではない。以前のシングル達成時が19時間オーバーだったので、前半の『8,848m』はそこを目安に走ることになる。
そして後半の『8,848m』は前半が終わった時の疲労具合で決めるつもりでいる。
『準備編』でも軽く触れているが、イメージでは前半を『19~21時間』、途中どこかで2時間の睡眠を挟んで後半を『21~23時間』で走れたらと考えている。
エベレスティングだけで考えると後半は未知の領域になるのでその場での臨機応変な対応も求められると思う。
幸いなことにチャレンジの方向性は違うが今年の4月に『国道10号&3号チャレンジ』で約45時間の長丁場を経験したばかりなので、気持ち的な耐性は多少ついているはず。
一番の不安要素は睡眠で、果たして途中2時間の睡眠だけで45時間前後のチャレンジを乗り切ることができるかどうかである。
あらかじめ睡眠をとる時間を決めておくことはせずに、行けるとこまで行き眠気がひどくなったら睡眠をとることにした方がいいだろうと判断する。
ただ睡眠をとるときは少しでも回復したいという思いもあるので、リラックスして睡眠ができるように着替えと歯磨きと掛け布団とクッションを用意している。
今までの経験上しっかりと2時間の仮眠が取れれば、その後の眠気は当分来ないと思ってはいるが、こればかりはコンディションなどによる部分もあり不透明なので、眠気の第2波のことも意識して睡眠をとるのは出来るだけ後ろ寄りにしたい思いに変わりはない。
スタートの時点から気持ちは常に『17,696m』を登り切ることを前提にして全てを組み立てるようにしておく。
そうすることで覚悟と心構えができて、余程のアクシデントや予想外のことが起きない限り気持ちが切れることが無いような状態になっている。
●チャレンジスタート~5,000m
空も明るく、気温は高くもなく低くもない走りやすい環境。いつものロングのチャレンジライドと比べてテンションを上げることなく落ち着いてスタート。
駐車場は登り区間の頂上から約300メートル手前の側面にあるので、まずはそこから麓まで下りてから1本目を登り始める。
最初はとにかくパワーを抑えて登る。思っている以上にゆっくりのペースでちょうどいいくらい。途中からそのゆっくりのペースで登ることすら辛い時間帯が来ることが過去の経験から分かっているので、全体を通したマネジメントでペース配分をすることが大切。
脚の状態や体調を確認しながらまずは予想通りのパワーとタイムで1本目を登り終える。
特に身体に違和感もなく、気持ちの乗りも問題ないので、その後も登り下りを続けるために走り始める。
1本登った後の下りで春日野から見える広島市内の景色をツイートしておく。
ここからはひたすら決めたペースで登り下りを繰り返す。
頂上の折り返し地点で停まった時に応援コメントへ返信したりするが、それ以外は特にすることが無いので最初のうちは予定通りのペースで淡々と登る。
そして8本登ったところで一旦休憩。経過時間は約2時間なので当初の予定通りのペース。
時刻もまだAM8時前なので気温もそこまで暑くない。
シングルならもう少し登ってから休憩しても問題なさそうだが、先の先を考えてこまめな休憩と補給を取るように心がける。
そこから更に2時間が経過して、スタートから約4時間が経過。
登った本数は16本なのでペースも順調。
ただ、この辺りから気温が上がり始めていて汗もかいているので、補給に関しても気を付けなければいけない。
熱中症も怖いので水分と塩分を補給。ゆっくり登っているとはいえ長時間のチャレンジなのでカロリーも都度摂取する。
ツイートの経過時間が間違っていたので、きっちりと訂正のツイートを入れる。
休憩後、4本登って合計で20本登ったところで再び休憩。
時刻が『AM11時』になり気温が一気に上がってきている。サイコン表示で『29.8℃』。
約5時間が経過して獲得も『約3,200m』、少し疲れも出始めているので、意識して休憩を多めに取る。
しかし、日が昇っているので休憩場所に日陰が無く、仕方なく日なたのアスファルトの上で補給休憩。
糖分やビタミンも意識して補給。併せてサイコンの充電もしておく。
少し長めの休憩の後、再び走り出す。
麓まで下りてから21本目を登っていると、ちょうど中間地点付近でロードバイクに乗ってこちらを見ている方がいる。
近づくと「お疲れ様です。応援に来ました。」と声をかけていただく。
応援に来てくださったのは『ぴえーる』さんで、この方は自転車競技のJプロツアーを走られている広島県内でも有数の自転車競技の選手なのである。
以前お会いしたことはあったがまだ一緒に走ったことはなかったので、今回初めて一緒に走らせていただいた。
こちらのペースに合わせていただきゆっくりのペースだったので、話をしながら一緒に登らせていただいた。
僕は自転車競技にも興味があるのでそれらのことをいろいろと聞いたり、エベレスティングについてのことを話したりと疲れを忘れて、気が付けば4本も一緒に登っていた。
休憩を兼ねて駐車場で少しお話をして、そのことをTwitterにあげる。
そして、ぴえーるさんもこのことをツイートしてくださっている。
すごくやる気をいただき本当にありがたかった。
ぴえーるさんは帰られたので、再び一人で走る。
そこから、4本追加して28本が終了。
ここで前半56本の内、半分の28本が終了したことになる。
しかし今回はダブルなので、この時点で全体の4分の1が終わったところである。
ここまで獲得標高は『4,470m』。ハーフエベレスティングであればこれで完了。
時刻は『13:35』になり、ここまでの経過時間は『7時間54分』なので思ったほど時間は経過してないといった感じ。
ここでも気持ちを強く持てているので、気持ちが切れるようなネガティブな感情は生まれてこない。
ただ、当然疲れは出ているし暑さにやられ始めているのは間違いないので、それらも想定してなるべくボジティブにチャレンジを継続することが大切。
朝起きて用意したおにぎりと梅を食べて、コーラで糖分も摂取して補給を済ませる。
このあたりから1回あたりの休憩時間も長くなっている。
休憩後、再び走り出し、そこから4本登って32本が終了。
ここで『5,000m』を突破。走行距離にすると150km走っている。
気温は変わらず『30℃』オーバー。塩分タブレットと飴で走りながら取ることのできるこまめな補給を忘れない。
●5,000m~10,000m
先ほどの休憩の後、2本ほど登ったところで、大休憩を取ることにする。
暑さと疲労の蓄積もあり、パワーが出なくなってきた時間帯。
予想以上の暑さでかなりバテている。
言い忘れていたが、この『春日野』という場所は一つ欠点があり、道が広くてきれいな分、日中の時間帯は走っているルート上に日陰がほとんど無い状態になるのである。
一部、街路樹や建物が影になる場所も無いことは無いのだが、それでもほとんどの区間が日なたになっている。
このまま登っていても暑さによる疲労で辛いだけなので、補給と併せて脚を休めて体力の回復を待つのと、熱い時間帯を休憩でしのぐ作戦である。
公園横のトイレに行き、水場で頭から水をかぶり、日陰を見つけてドーナツとジュースを飲みながらしばらくのんびりと過ごす。
この手の長時間チャレンジでの疲れは今までの経験で慣れてきていて体調の波もあるので補給してしばらく経てば回復するのが分かっている。
ファストライドであれば、少しだけ休憩して走りながら回復するまでしのぐのだが、エベレスティングは時間制限があるわけではない。潔く大休憩を入れて回復を待つのも有りだと思う。
ただ、トータル時間が長引くと結局睡眠の問題に関わってくるので、リフレッシュできてそこそこ回復できるちょうど良い時間を見極めることも大切だと思っている。
結局、30分くらいの休憩をはさんで再開。
休憩後で体調も回復しているので、35本目からもペースを変えずに登る。
36本目を登り終えて、下っている途中の麓あたりで春日野をロードバイクで登られている方とすれ違う。
知り合いかなと思いながら、挨拶を兼ねて確認すると、何度かお会いして交流も少しある『F岡さん』だった。
この方も自転車競技のJプロツアーを走られていて間違いなくすごい方です。
『F岡さん』ともお会いしたことはあっても一緒に走ったことは無かったので、今回一緒に登っていただきたくさん話をすることができた。
『F岡さん』は『ぴえーるさん』同様にとにかく自転車に関することの知識がすごく豊富で何を聞いても的確な答えが返ってくるので、話をしていて楽しいし為になる。
気が付くと4本一緒に登っていただき40本をクリアしていた。
そして麓まで一緒に下りて、お別れをする。
その後、41本目を登ったところでツイートをする。
休憩後に数本登り下りして、時刻が『19:38』になった時。空も薄暗くなり安全運転を心がけるツイート。
ツイートでは画像を添付し忘れていたので、こんな感じです。
時刻が『20:00』前後になったあたり、数名のロードバイクに乗った方と何度かすれ違う。
春日野は夜に練習で登られている方が多いので、この日もそんな方々が頑張って登られている。
麓のコンビニで休憩されている方もおられたので挨拶をしてみると、よくここで練習をされているとのこと。そして知り合い伝えで僕のことを知っているようでなんとなくエベレスティングのこともご存じだった。
少し話をして再び登り始める。
登り始めると一人の若いロードバイクにのったこが挨拶をしてきてくれた。
『エベレスティングされてるんですよね』『I.Rと言います、STRAVAでフォローしてます』と言ってくれて、初めて会ったのだが誰か理解することができた。
『I.Rくん』は春日野の麓に住んでいる中学生で、このあたりをよく走っているし、STRAVAでもやりとりをしたこともあり、それらの話をしながら一緒に登ってくれた。
いろんな話をしていて、「自分が中学生の時はこんなにしっかりしていなかったな」と感心しながらも、こんな交流があるのもロードバイクに乗ってるおかげだと嬉しく感じた。
結局3本一緒に登ってくれたので、これで46本が終了。
シングル達成まであと10本のところまでやってきた。
そこから2本ぐらい登ったところで、今度はAJ広島の常川さんが仕事帰りに車で駆けつけてくれた。ありがたいことにクエン酸のドリンクもいただく。
常川さんのツイートにもこのことをあげていただく。
そこから少しして、登っているときに車が並走してきて助手席から「頑張ってください」との声をかけていただく。
今度は『K原さん』が応援に来てくれた。車で並走しながら少しだけ話をして元気をいただく。
ちなみに『K原さん』はこの『春日野ヒル』のセグメントKOMの保有者ですごく速い。
最後に写真を撮ってくれてTwitterにあげてくれた。
何も無ければ辛いはずの時間帯だが、こういった応援があると本当にありがたいです。
ペースは速くなくても1本1本を確実に登ります。
50本終了したタイミングで休憩。
時刻は『22:06』で、『16時間25分』が経過。
やはり疲れがあるみたいだが、好不調の波があるのは承知の上なので、ネガティブになることなく頑張ることができている。
まだまだ先は長いので、無理のないペースで確実に淡々と登る。
半分終われば、そこからは折り返しなので気持ち的にも一旦落ち着くことができると思い、最初のシングルのゴールを目前に頑張る。
そして前半の56本が終了。
時刻は『00:24』、経過時間は『18時間43分』。
ターゲットタイムは『19~21時間』だったのでいい感じの時間ではある。
それでも過去2回のシングル達成時より速く走れている。以前は2回とも雨での中断があるので単純に比較できないが、今回は暑さもあるし、この後のことも考えながら登っていることを考えると、自分としては悪くないと感じれている。
ツイートにもあるように疲れてはいるが眠気はまだ無いので、一旦食事と脚を休めるため長めの休憩をとってから、そのまま走ることにする。
コンビニまで下りて食事をとる。
カレーが食べたい気分だったのと、ここまでしっかりとした食事を摂っていなかったので、サラダとみそ汁とヨーグルトにプロテインも摂った。
食事をゆっくりと時間をかけて食べてから、ストレッチで体をほぐしてから再開。
時刻は『AM1:13』、ここから後半戦を再開。
自分にとってここから先は未知の領域だが、イメージできない感じとは違うので、気持ちを切らすことなくこれまでと同じように登ることにする。
この時間帯は、休憩後で少し元気になったのと、夜間で交通量も全くない状況なのでリズムよく走ることができている。
そして気温も20℃を下回り走りやすいので、今のうちに進めておきたい気持ちもある。
再開後、約2時間30分をかけて8本を登り終える。
合計で64本を終了して、獲得標高も『10,000m』を突破。
既に時刻は『AM3:43』で、経過時間は『22時間2分』。
まだカウントダウンというタイミングではないが、半分を折り返すとどうしても頭の中で残りの本数と獲得標高を考えてしまう。
と言うことで、この時点で残りあと『48本』。
ゴールを意識するわけではないが、ゴールまでに必要な時間もシミュレーションする。
頭の中でこれから走るボリュームを出来るだけ具体的に考えることで、気持ちが切れないように持っていく。
いつものペースで登れば『4本=1時間』の計算で『12時間』となる。
ただかなり疲れているので当然ペースも落ちているし、休憩頻度も増えているのとその都度の休憩時間も長くなっている。
あと、どこかで睡眠時間をとる可能性も考えると『20時間前後』は考えておく必要がある。
と、このあたりで走行編の『前半』を締めようと思います。
●終わりに
ここまで約22時間で獲得標高を『10,000m』登ってきたが、ある程度自分の中のイメージ通り進めることができていると感じている。
疲れ具合や細かな休憩時間といった具体的な部分はさすがにイメージできてないが、大まかな時間や疲労に対しての対処の仕方等は想定範囲内である。
当初の予定では10,000mあたりで睡眠のことを考え始めているのではと想像していたが、今のところ眠気は来ていないので自分としては良い展開である。
そして、たくさんの方に応援に来ていただき、本当にありがたくやる気をいただきました。
また、Twitterでもチャレンジ中のツイートに対して多くのコメントやいいねをいただき、合わせてやる気をいただいています。
皆さんからの応援のおかげで、もともと持っていた最後までやり切るための『覚悟』がより強固になっていることは間違いありません。
本当にすごく良い影響をいただいていて、集中力が切れることはあっても、「もうやめたい」「いつまで続けるのか」と言った思いはまったく出ずにここまで気持ちが切れることがありませんでした。
このあとも走行編の『後半』として続きますので、引き続きよろしくお願いいたします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。